ごあいさつ of Travel and Health






 第16回日本渡航医学会学術集会において、「国境を越える医療ケア(Medical care across the border)」をメインテーマに掲げました。グローバルな時代において、多くの人や物や情報が国境を越え、瞬時に世界を駆け巡っています。海外旅行で多くの日本人が観光地をパッケージ旅行で訪問するだけでなく、世界のどんな片田舎に行っても日本人の姿を見かける経験は少なくありません。また、日本国内においては、観光地だけでなく、地方都市においても外国人の在住者や旅行者をみかけるようになりました。
 人や物の国際的な往来は、保健医療においても例外ではありません。外国人集住地区では、すでに多くの医療通訳士が病院に勤務し、患者と医療者のコミュニケーションの架け橋となっています。2011年1月からは、「医療滞在ビザ」の運用が開始され、医療を受けることを目的に患者が来日できるようになりました。また、経済連携協定に基づき外国人看護師などを受入れる一方で、中国や東南アジアで勤務する日本人の医療者も少なくありません。まさに、患者も医療者も国境を越えて移動する時代になったといえます。
 第16回日本渡航医学会学術集会においては、医療通訳士協議会(JAMI)との協働の下、国境を越える医療ケアの現状を共通認識し、その未来像について語りあいたいと思います。JAMIのもつ多彩な構成メンバーの方に参加いただくことにより、医師や看護職といった専門職だけでなく、NGO/NPOなどいろんな立場や背景をもつ人びとが、自由闊達に議論するプラットフォームを提供していきたい。いろんな立場の人びとが出あい、ともに学びあうことにより、国境を越える医療ケアの新しい時代がはじまり、真に学際的な研究が芽ばえることを期待しています。
 学部生・大学院生・研修医などを含め、多くの方々の参加を心待ちにしています。










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第16回日本渡航医学会学術集会
大会長 中村安秀